日本百名山の著者として知られる深田久弥は
「北アルプスの南の重鎮を穂高岳とすれば北の俊英は剱岳であろう」と有名な文句を残していますが、日本アルプスを代表するスターといえば間違いなく槍ヶ岳と穂高岳でしょう。
確かに孤高の鋭鋒である剱はすばらしいく男前なのだけど3000mクラスの岩の塊がひしめく槍穂のスケールには一歩引いてしまうのではと思う。また一般ルートでこれだけのスケールの岩稜を味わえるのは国内には槍穂を除いて他にない(後立の鹿島槍から白馬にかけての八峰キレットや不帰ノ嶮もこれには及ばないと思う)。
槍も穂高もピンでは登っているけど縦走となるとまだ未経験。そこで今年こそは念願の槍から西穂へのパーフェクト縦走をやり遂げようと天候が安定する瞬間を待ち望んでいました。
荒れに荒れた8月後半からの天気もようやく落ち着き何とか夏山の滑り込み(秋山か?)で槍から穂高を歩く目処が立ちました。今回は最後まで迷ったけど岩と戯れる時間が長いので安全第一で食材だけ担いで小屋泊り(素泊まり)にしました。
10日の9時に自宅を出てR156を郡上まで走りせせらぎ街道~高山~新穂高と12時に新穂高無料駐車場に到着しすぐシュラフに包まる。槍穂というと表玄関が沢渡だけど、東海人からしたら上高地から山に入るにはバスの時間の制約と駐車場代&交通費がかさむことから、慣れてる人は結構新穂高から入る。バスが無いからいつでも出発できるし駐車場はタダだし
朝4時に起床し朝ごはんをとって5時に出発。今日の目的地の槍ヶ岳山荘まではコースタイム9時間、標高差2100mと中々の長丁場。途中の槍平小屋まではダラダラの道だけどそこから飛騨沢の登りは前を思い出してもきつかった記憶が
まだ暗い中の新穂高登山指導センターに登山届けを提出しにいく。周りには誰もいない。
新穂高から槍ヶ岳はまず蒲田川右俣の林道を進む。当然ショートカットして穂高平避難小屋に到着。
上を見ると稜線も明るくなってきた。今日は思ったとおりの快晴を期待できそうだ。
白出沢からは林道から登山道になりチビ谷を過ぎて滝谷に到着。橋も普通に架かっていた。
滝谷の雄滝とその上に北穂のドーム。上高地から横尾にかけての華やかな道と違い、人の気配が少なく蒲田川の激流と穂高の岩壁がどこか重々しい雰囲気を与える。
思っていたより早く槍平小屋に到着し本日始めてザックをおろして休憩。平日だからか宿泊客もまばら。
新穂高から槍平までは急な登りも無いダラダラな道だが、槍平から先はようやく登りらしい登りで高度を稼ぐ。中崎尾根の向こうに笠ヶ岳も見え出す。
ダケカンバなどの樹林帯を一定のリズムで登っていくとようやく森林限界の飛騨沢が見えてきた。
やっと飛騨沢に入りました。時期的に花は少ないが夏は素晴らしいお花畑になるそうだ。ここから見る笠ヶ岳の姿はいつ見ても素晴らしい!
高度を稼ぐにつれ裏銀座の山々も見えてくる。千丈沢分岐で西鎌尾根に登ろうか迷ったけど無駄な体力使いたくないからやめ
日本一高い峠である飛騨乗越への登りは本当に長い。ここはローペースでリズム良く登ることでバテずに登れる。でも目の前なのに中々縮まらないんだよな。ここで自分と同時間ぐらいにスタートしてもどってきた人に遭遇。当然日帰りですと 新穂高~槍は結構日帰り挑戦する人が多いんだけど
無心で登っていたら12:30にようやく飛騨乗越に到着。少し首をかしげた槍も良く見えてる。
飛騨乗越から一分張りの登り(疲れた体には本当に応える)で槍ヶ岳山荘に到着。さて宿泊手続き済ませて穂先に登り後はビールだ
登りはじめてすぐ小槍が見える。もちろんクライミング専門の領域だけど。その世界では初級程度らしい
穂先への登りは途中まで登りと下りに分かれている。中間の梯子を登ったところにあるボルトを使った登りは最初登った時無茶苦茶怖かった 今回は楽しんで登れましたがやはり最後の梯子はやっぱり神経ぴりぴりになってしまう
まずは最初のピーク槍ヶ岳に登頂。晴天ゆえに展望抜群以前あった標識は無かった。
頂上から槍ヶ岳山荘を見る。小屋から20分ぐらいですが凄い高いところに来た気になる。
皆は穂高方面の展望を見てますが、自分はいつか行くであろう北鎌尾根の全貌をチェックする(うそですうそ)。槍に登るルートの中でもここだけは気力体力技術力全て揃ってないと登れないルートです。
穂高への稜線。明日はここを歩くのだと思うとワクワクする。
眺望を楽しんだら小屋に下りビールで疲れた体を癒す。小屋は宿泊者がたいして多くないのに効率化ゆえか一部屋に詰め込まれ寝苦しかった。
自炊は自分と雲ノ平に縦走する棒小屋の男の子とご夫婦の3組だけでゆったり食事が取れた。食事後夕焼けを見に外に出たが(寒かった)雲海から夕日を浴びた顔を出す笠ヶ岳が無茶苦茶綺麗でした。
明日の予報も快晴バッチリみたいで楽しみにしながら8時に床に就きました。